プラネット・バーストRPGの世界

 今でない時代、どこか遠くの宇宙の話。
 神々は宇宙の支配権をめぐって争いを繰り広げていました。
 あなたはあまたの神々の一柱となって争いの中に身を投じることになります。
 
 神々の目的は様々です。
 絶対者となるべく力をたくわえ、下位の神々を従え軍を作る者。
 完全なる平和と秩序を目指してあらゆる神々との同盟を結ぶ者。
 あるいは己の享楽のためにのみ行動する者。

 みなさんは果たしてどんな神様になるのでしょうか。

 神は星々の民たちから「信仰」されることで力を増していきます。
 神々はそうして得た力を形にして周りに知らしめることでさらに力を得てゆきます。
 神の力を顕現し、増幅させる代表的な三つの方法があります。

一つは「化身」(アバター)

 最もポピュラーな手段です。
 これによって神は世界に物理的に干渉する術を持ちます。
 それは様々な神通力よりもさらに精密でダイナミックな行動を可能にします。
 力の強弱にかかわらず持つことができ、ほとんどの神にとって最も簡単で重要な自己表現です。
 アバターがあれば神は自身が何者であるか、身を持って知らしめることができます。
 アバターがあれば神は下界の民と同じように、様々な享楽を楽しむことができます。
 アバターがあれば神は回りくどいことをせずとも、直接世界に関わることができます。

 しかし、広い世界にはあえてアバターを持たない神もいます。
 彼らの意図は様々ですが、大きく分けて二つに分けられます。
 一部の深謀遠慮の神と、意志をほとんど持たない暴力的な自然そのものの存在の二つです。
 神々の争いにおいてアバター同士の直接対決はほとんどの場合最終決戦としてとらえられており、
 強大な神同士の戦いの場合、決戦にもつれる前に、どれだけ敵対する神の神器や惑星を破壊できるかが戦いの大きな焦点になります。

一つは「神器」(アーティファクト)

 比較的力の小さい神々でも積極的に創造することができます。
 自身の力を込めた神器を創って所持したり、自分の支配する惑星に安置して奉らせたりします。
 神器は民や、下位の神々から力の象徴として信仰を集め、力をもたらします。
 さらに神器そのものが砕け散ることによって運命を操作する力、「奇跡」を発揮することもできます。
 しかし神器には他の神に奪われる、破壊されるといったリスクが付きまといます。
 神器は攻撃に対する耐性はなく、持ち主や守護者などに守られていない無防備な神器が攻撃を受ければ簡単に破壊されてしまいます。
 また、神器の力は少しずつ湧いてくるもので、即座に大きな力が必要なときは自ら神器を破壊せねばならないかもしれません。
 強力な神器は破壊されたときにその力の名残を発散するため、それを取り込もうとする神も多いのです。
 多大な力を消耗して神器を作るより他の神から奪い取った方が良いと本気で考えている神もいます。
 ただし、神器は厚く守られていることが多く、想像以上に強力な守護者に遭遇し返り討ちにあってしまうともよくあることです。
 みなさんがどのように行動するのかはまさに神のみぞ知る、かもしれません。

一つは「惑星」(プラネット)

 多くの場合強大な力を持つ神々によって創造されます。
 惑星そのものを新たに一つ生み出し、占有します。
 この星で生まれた新たな民たちにあまねくあなたの偉大さを知らしめるのです。
 そうすることによってあなたは神器よりはるかに強大な力を恒久的に得ることができます。
 いくつもの惑星を有することであなたは次第に莫大な力を手中にするでしょう。
 星にはほかにも資源や、協力的な住人などパワー以外の価値も数多く生まれる可能性があります。

 惑星の放棄は凄まじい爆発とともに行われます。
 爆発に巻き込まれれば神と言えども無傷では済みません。
 しかし、惑星の持ち主がそのエネルギーを吸収するために意図的に星を破滅させる場合もあります。

 惑星は神器と違い奪取することが難しく、敵対する神の力を削ぐために最も有効な手段として破壊が選択されることが多々あります。
 惑星の破壊は前述した「パワー以外の価値」も大きく奪うため、惑星の攻防は神々の争いでも最も激しい戦いが繰り広げられることでしょう。
 いかなる理由にせよ星の破滅は土着の生物の絶滅を伴うでしょう。


 これらは神が力を示す代表的な手段ですが、唯一の手段ではありません。
 歴史に名を連ねる強大な神々の中には宇宙そのものを新たに創造した神や、概念を生み出した神などもいると言われます。

銀河と管理者たち

 おもに舞台となる宙域は、現在四大神と呼ばれる四柱(柱・はしら=神様の数え方)の統治者によって四つの領域と一つの未開拓宙域に分かれています。
 宇宙では方角の概念は通用しませんが、便宜上呼び名が与えられています。
 以下にそれらを紹介します。
 多くのプレイヤーがまずはこの宇宙を基本にゲームを繰り広げることになります。
 もちろんマスターが独自に創り出す宇宙を舞台にすることも可能です。

 各銀河にはその領域で最も有力な神がいます。
 法律などではなく、純粋なパワーバランスと、便宜的な定義によるものです。

ピクシス:北の銀河

 神器「羅針盤」を掲げる知の神。
 北の銀河の統治者であり、銀河の安定を目的とした神々の「同盟」の盟主である。
 新興の神々に助言を与え、荒ぶる神を諌め同盟を広げています。
 偉人タイプの男性のアバターを使用。
 長身、威厳を保ちつつどこかしら爽やかさのある壮年の姿をしています。
 穏やかな性格ではあるものの、いざという判断に情を挟むことを嫌います。
 また、無用な暴力をふるうものに対しては非常に厳しい態度を取ります。
 現在は南の銀河を同盟に引き入れるべく協議を重ねています。
 ハートに象徴される北の銀河の管理者です。

北の銀河:

 「同盟」の勢力が最も強い銀河であり、新興の神や争いごとを嫌う神にとっては非常に良い環境です。
 神々の集うワインでできたワイン星「バッカスの三番星」はこの銀河のはずれにあります。
 しかし、西の銀河の「カリーナ」率いる軍勢とは長く緊張が続いています。
 そのため北の銀河も外縁付近では敵対する神々が衝突することがしばしばです。
 治安のよい北の銀河中心付近では神々は、民への施しや祭事への参加などが主な活動となります。
 北の銀河内での無用な争いは同盟派による懲罰の対象となり得ます。

・白の宮殿
 同盟の盟主ピクシスの本拠地であり、北の銀河の中心付近に位置します。
 贅を尽くした壮麗なる宮殿の最奥に大法廷が存在します。
 その法廷の最高責任者こそがピクシスです。
 この宮殿はかつて銀河を制する神々の王が築いたとされ、ピクシスはそれを改修と増築を繰り返すことで今の姿に作り変えました。
 ピクシスの神通力によって巨大な宮殿そのものが一つの天体として存在しています。
 北の銀河でもかなり古い天体であり、同盟を象徴する建築物でもあります。

・バッカスの三番星
 北の銀河に存在するこの銀河群で最も神々の交流がさかんに行われている星です。
 惑星全体がワインでできている小さな星で、新興の神、勢力の弱い神々を中心に情報交換や交流が行われています。
 まれに神から寵愛を受けている下界の生物や精霊などが連れられて訪れていることもあります。
 高位の神の中にも一部この惑星の常連がおり、コネの獲得の助けにもなるでしょう。
 惑星の主であるバッカスはとても気さくな神で、新興の神に対する援助に積極的です。
 手つかずの神器や迷える民を抱えた惑星などを広く知っており、また四大神とも面識があります。
 彼の店で一杯あおればいい話を教えてもらえることでしょう。
 神にお金は必要ありません。
 100EP程バッカスに提供すれば彼は喜んで美味い酒を出してくれるでしょう。
 中には店の外で「星」を勝手に飲む輩もいるのがバッカスの小さな悩みです。

・知識の間
 ポイントゼロからわずか100光年ほどの場所にある古びた惑星です。
 北の銀河と軌道が近いことからピクシスが管理人を名乗っています。
 この星にはこの銀河群のあらゆる情報が記憶されており、それはいまでもリアルタイムで追記され続けています。
 名目上は同盟の管轄と言われていますが、惑星そのものは支配者はおらず、だれでも利用できます。
 知識の保存方法は様々です。
 書籍、電子情報、壁画、あるいは精霊たちの口伝など、ありとあらゆる方法です。
 最もポピュラーな情報は書籍ですが、知識の深淵にたどり着くにはあらゆる情報媒体を読み解く技能をもとめられます。
 知識の間を使いこなす偉大な神々にとって最大の謎は、知識の間が何者によって生み出されいつから存在しているのかということです。
 そしていかなる方法で本が、データファイルが、壁画が、伝説が増え続けているのか、誰も知りません。

・ベーリング
 北の銀河のはずれにある静かな領域です。
 強大な重力を持つ超巨星を中心に六つの衛星と無数の小惑星によって構成されています。
 これらの衛星は多数の放棄された神器を保有しており、埋蔵量は銀河群随一です。
 そのため、勢力の小さな神々が力を蓄えるべく神器をもとめて日々集まってきます。
 現在はピクシスの指導で治安管理や神器発掘を新興の神たちが修練を兼ねて行っています。
 そのため非力な民にも住みやすく、弱小の神でも神器を得やすい環境が作られています。
 多くの神々にとって初めての旅の舞台となるでしょう。
 この恒星系の六つの惑星はそれぞれ特色があり、灼熱の大地と獰猛な原生生物の住む星や協力的な民の住む穏やかな星まで様々です。
 現在中心の超巨星は1000万歳を迎えましたが、巨大すぎる質量のために寿命が短くピクシスは動向を注視しています。
 中心にある超巨星の死はベーリングを恐るべき地獄へと豹変させるためです。

ヴェラ:南の銀河

 神器「帆」を掲げる自由の神です。
 一神による銀河の支配が気に食わず、カリーナとの衝突が絶えません。
 しかし同盟に対してもあまり快く思っておらず参加する気はありません。
 一か所に腰を据えることはしませんが、活動の中心は南の銀河であり、他の四大神とのある程度の住み分けはしているようです。
 事実上南の銀河を率いています。
 この宇宙で屈指の武神であり、ピクシスにとってもカリーナにとっても頭が痛い存在です。
 獣神タイプのアバターを駆り、二足歩行の老猫の姿をしています。
 同盟、軍勢双方から勧誘を受けましたがいずれにも加担する気はないようです。
 クラブに象徴される南の銀河の(事実上の)管理者です。

南の銀河:

 現在最も争いが盛んな銀河です。
 未支配の惑星、民、エネルギーが非常に豊富であり、あらゆる勢力がそれらを我が物にしようと躍起になっています。
 ある程度力をつけた神がその野心を満たすのに最適の領域です。
 しかしこの領域はあらゆる勢力がぶつかる激戦区でもあり、立ち回れない者には過ごしにくい場所と言えます。
 一方ヴェラが目を光らせることによって各勢力のむき出しの敵意にさらされずに「戦いを楽しむ」事ができる場所でもあります。
 未開の惑星が多く、ごくまれに「知識の間」に未だ記録されていない何かが発見されることもあります。

・二重連星「シェイク・ボーラ」
 火山の星、海の星、鉱山の星、台風の星の四つからなる二つの連星です。
 連星の周りをもう一つの連星が互いに回ることによって構成される奇妙な天体です。
 「ボーラ」という武器を振り回しているように見えることからこのように名づけられました。
 ヴェラの本拠地であり、ヴェラはその日の気分によってどの星で昼寝をするかを決めています。
 シェイク・ボーラの所属する恒星系には他の惑星は少なく、連星間での文明の交流はありません。
 それぞれの星には原始的ながら文化をもった民がおり、それぞれが過酷な環境に耐えながらもヴェラを信仰して日々暮らしています。
 しかし鉱山の星だけはテクノロジーが発達しており、蒸気機関が発明されて活発な産業が興っているようです。

プッピス:東の銀河

 神器「船首」を掲げる運命の神です。
 この世には生まれたときからの定めがあります。
 プッピスは定めにいたずらに干渉するべきではないと考えているようです。
 東の銀河のどこかからプッピスは静かに銀河の行く末を見守っています。
 現在はアバターを持ちませんがかつては少年の姿をした精霊タイプのアバターを使用していたと言われています。
 自らの母体となる神器「船首」に手出しをする者にのみ容赦のない攻撃を加えます。
 不可視のプッピスとその隠された神器は神々の間でさえ怪談のごとく語られ、触れるべきではない物として伝えられています。
 結果として東の銀河全体が荒涼としてデブリで入り組んでおり、神をも恐れぬ無法者たちには絶好の隠れ蓑となってしまいました。
 無法者たちは結果的に自分たちに都合の良い銀河を保ってくれるプッピスを銀河の統治者として祭り上げています。
 プッピスは四大神の争いと「アルゴーの船」に関する秘密を何か知っているようです。
 ダイヤに象徴される東の銀河の管理者です。

東の銀河:

 一度滅んだ銀河です。
 争いの末、生命も資源も枯渇しましたが、同盟派と新興の神々によって復興が計画されています。
 しかし、一度は無法地帯と化した場所なので今でも非常に治安が悪い宙域です。
 かつては行き場を失った者たちの行き着く果てとされていました。
 現在でも神器の盗掘者や、アバターすら失った落ちぶれた神などが巣食っており、襲撃される者が後を絶ちません。
 プッピスが拠点としていることが知れ渡ると、恐れをなす者が続出し、より無法者に好都合となってしまいました。

・秘密の海
 八つの宙域に囲まれた最奥に位置する静かな小惑星帯です。
 重力の澱みになっており、一度ここに流れ着いたものは自然にここから出ていくことは決してありません。
 結果としてこの領域は大量のデブリであふれています。
 所有者のいなくなった神器なども大量に流れ着いているため盗掘を狙う者も多数ここを目指しますが、二度と帰らない者も少なくありません。
 この宙域のどこかにプッピスがいると言われているプッピスの本拠地です。

・惑いの雲
 東の銀河にある大小さまざまな小惑星によって作られた巨大な帯状の領域です。
 この領域は物資も信仰心も枯渇しており、神に見放された領域といわれています。
 それゆえ略奪を目論む邪神や、野蛮な文化を持つ無法者どもが数多く潜み、神にもその他の生物にとっても危険な領域です。
 もともと事故が非常に多い領域で、被害者の遺留品を簒奪することが彼らの日課です。
 このまま無法者たちが集まれば、いつしか邪神たちが彼らの信仰を集め、一大勢力と化す恐れもあります。
 爆散した星のかけらもよくここへ流れ着くため、学者やトレジャーハンターが時折足を踏み入れます。

カリーナ:西の銀河

 神器「竜骨」を掲げる侵略の神です。
 カリーナこそまさにこの銀河群で最強の力を持つ神でしょう。
 大小様々の数多の神々を従え、銀河最大の「軍勢」を組織しています。
 本人の戦闘能力も単体ではこの銀河群最強であり、西の銀河を征服し、続いて南の銀河征服に乗り出しました。
 鬼神タイプのアバターを使用し、その容貌は麗しい美女そのものです。
 冷酷無比、強者のみを評価し、弱者に対して一切の手心をつけません。
 しかし「強さ」の在り方に関しては差別せず、力が弱くとも自らの価値を示してみせる者は重用します。
 「同盟」との全面対決の前に資源と民の豊富な南の銀河を手に入れようとしています。
 スペードに象徴される西の銀河の管理者です。

西の銀河:

 一つの巨大な「軍勢」に掌握された銀河です。
 この領域はこの銀河群でも最も危険な領域の一つです。
 この銀河はカリーナ率いる「軍勢」によって完全に支配されており、従わぬものには容赦ない攻撃が加えられます。
 しかし、実力と忠誠を示すことができればカリーナの名のもとに力と栄光が約束されるでしょう。
 この銀河において「力」も「取引材料」も持たない者は滅亡を覚悟せねばならなりません。
 非常に高度な科学技術を持つ惑星が多数存在しており、それがより一層「軍勢」の力を驚異的なものとしています。

・黒の大聖堂
 西の銀河の中ほどに位置する「軍勢」の指導者カリーナの本拠地です。
 荘厳な大神殿の最奥にカリーナだけを祭る大聖堂があります。
 自らが宇宙の新しい秩序であるとして、その中心とするべくカリーナ自らが建造を指揮しました。
 この宇宙でも比較的新しい天体であり、その威容を持って「軍勢」の象徴となる建造物です。
 
・バレンツ
 西の銀河の中で南北銀河の境界からちょうど中央付近に位置する非常に科学技術の発達した惑星です。
 この星の科学力はすでに神々の存在を観測できるレベルに達しており、多くの民たちがカリーナこそがそれらの頂点に立つ者と信じて崇拝しています。
 彼らは強大な宇宙艦隊を率いており、並大抵の生物では太刀打ちできず、神と言えど油断できない戦いを強いられることもあります。
 この星の民はカリーナこそが銀河を制する者であると考えています。
 彼らの研究所ではカリーナ以外の神を撃破する術を日夜研究しているのです。
 もしあなたが力の弱い新興の神ならば、彼らとの戦闘には情けを持ってはいけません。
 全力を持って討ち果たす覚悟でなければ彼らの大艦隊には太刀打ちできないでしょう。
 この星の民は主に人間タイプです。

ポイントゼロ

 この銀河群の中央に位置する暗黒空間です。
 中に何があるかは知る者はいません。
 一つ確かなのは、入った者は帰ってこないということです。

アルゴーの船

 この銀河群のどこかに眠るとされる究極の神器です。
 宇宙を制する者に与えらえれるとされその存在は謎に包まれています。
 四大神を含む多くの有力な神々が行方を追っていますが見つかっていません。
 とりわけピクシスの「同盟」とカリーナの「軍勢」が熱心に探しています。
 一説によるとポイントゼロにあるとも言われます。